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ご覧いただきありがとうございます。 Web掲載 「煮物屋さんの暖かくて優しい食卓」 の番外編 「筋肉と恋心の狭間」 です。 煮物屋さんというお店で、店長の佳鳴と弟の千隼、そしてお客さまたちと繰り広げられる、暖かくて優しい物語です。 今回は筋肉にこだわる男性のお客さまのお話。恋のゆくえはどうなるのでしょうか。 ・文庫サイズ/36ページ 本編の小説はこちら。 https://ncode.syosetu.com/n2156fz/(なろう) https://kakuyomu.jp/works/1177354054893762233(カクヨム) https://www.alphapolis.co.jp/novel/773393922/989392696(アルファポリス)
▼おためし読み
「筋肉はね、裏切らないんですよ」 とある金曜日。常連である弓削(ゆげ)さんは笑顔でそう言って、隆々とした力こぶと白く輝く歯を見せる。 髪は短く刈り込んで、はいない。淡いブラウンに染められた髪は緩やかに波打っている。天然では無くそういうスタイルのパーマとのこと。 筋肉とおしゃれは両立できる、それは弓削さんの談である。佳鳴と千隼はおしゃれはともかく筋肉については詳しく無いが、健康のためにある程度は必要であることは解っているので「そうなんですかぁ」と相づちを打つ。 筋肉信者である弓削さんではあるが、ボディビルダーの様な筋肉が付いている訳では無い。弓削さんいわく筋肉の付きにくい身体なのだそうだ。なので力こぶこそ立派なものができるが、いわゆるマッチョという肉体には程遠いのだと言う。 確かに弓削さんはごついという印象は無い。服を脱いだところを見たことが無いので判らないのだが、きっと程よい筋肉が付いているのだろう。いわゆる「スタイルの良いお兄さん」だ。弓削さん本人にしてみれば不本意なのかも知れないが。 「普段は筋肉のために高たんぱくの食事を心掛けてます。トレーニングのあとはプロテインも飲みます。あ、もちろん米も食べますよ。でないと動けなくなりますからね。ジムで鍛えられなかったら意味が無いので。食べ過ぎない様にはしてますが。なのでここでのご飯とお酒は週に一度の贅沢です」 弓削さんはそう言って美味しそうにハイボールを傾ける。ウイスキーや焼酎などの蒸留酒は糖質が低く、ダイエットをしている人には最適な酒だ。弓削さんの場合はダイエットをしている訳では無いので糖質にさほど神経質になる必要は無いと思うが、夕飯の後は運動をしないのでできる限り控えているのだと言う。 「筋肉は良いですよ。付きにくいと言ってもやっぱり鍛えれば応えてくれるし、身体だって丈夫になります。重いものが持てる様になったり体力も付いたり。そうそう、この前彼女をお姫さま抱っこしてあげたらすごく喜んでくれて」 弓削さんはそう言って照れ笑いを浮かべる。佳鳴は「あら、ごちそうさまです」と微笑んだ。 「彼女さんと仲良くされているんですね」 「はい、お陰さまで。そろそろプロポーズなんてのも考えてるんですけど」 弓削さんはまた照れる。佳鳴もまた「あらぁ」と目を丸くする。 「お付き合いは長いんですか?」 「三年ほどです。でも彼女も結婚を匂わす様なこと言ったりもするので、多分待ってると思うんですよね。なのでここは男の俺がびしっと決めないと!」 弓削さんは気合いを入れる様に拳を作る。佳鳴は「そうなんですね」と微笑ましげに目を細めた。 「成功をお祈りしております」 佳鳴が言うと、弓削さんは「ありがとうございます!」と満面の笑みを浮かべた。 続きはぜひ本でご覧くださいませ。よろしくお願いします!( ̄∇ ̄*)